ダイバーシティ・ウィーク
Sophia Diversity Week 2018
ダイバーシティ・ウィーク
2017年に続き、11月25日「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日「世界人権デー」までの期間、ダイバーシティに関わるさまざまな企画を開催しました。ダイバーシティ推進室と学生および多分野の教員との協働による取り組みとなりました。女性・障がい者・LGBT・外国人(異文化)などを日本社会がどのように包摂していくかを考える機会となりました。
プログラム
1.ブックフェア
「コミュニケーション」「マイノリティ」をテーマに、関連図書を選定し、展示、販売を行いました。
- *中央図書館 1階新刊コーナー 11月26日(月)~12月10日(月)
- *紀伊國屋書店上智大学店 11月26日(月)~12月10日(月)
2.パネルディスカッション
日時:2018年11月26日(月)17時30分~19時30分
場所:図書館9階921会議室
プログラム:パネルディスカッション
コーディネーター:目黒 依子 本学名誉教授
パネリスト:文学部新聞学科 阿部 るり 准教授
総合人間科学部社会学科 今井 順 教授
外国語学部フランス語学科 牧 陽子 准教授
【質疑応答】
ダイバーシテイ・ウィークの企画のひとつとして、ジェンダー関連の授業を開講している3人の教員に、自らのキャリアとジェンダーとの関わり、今後の社会のあり方などを語っていただきました。ジェンダー研究の先駆者である目黒依子名誉教授がコーディネーターを務め、パネリストたちにキャリアについて様々な質問を投げかけました。
当初から研究者を目指した阿部先生や、マスメディアで働いた後に研究者となった牧先生が登壇しました。2人ともお子さんが3人いらっしゃるとのことで、キャリアを継続するにあたり、「このまま働いていけるのだろうか」「女性の就労とケア役割はどうあるべきなのか」など真剣に考えたとのことです。そして阿部先生からは家族や大学の制度に助けられたことなどを語っていただきました。
企業での勤務経験がある今井先生からは、女性がキャリアを歩むにあたって、男性はその困難さに気づかないが、企業中心社会である日本は今こそ、その文化を改めなくてはならないと話され、解決策としては、すべての分野において女性の比率を高めること、ポジティブアクションが必要との提言がありました。
目黒先生からは、ご自身のキャリアから「日本の社会を変える」ために長年ジェンダー研究に取り組んできたが、未だ途上にあるとの感想が述べられました。
パネルディスカッションの後、会場の参加者が感想や質問を述べ、活発な意見交換が行われました。本学の授業内でのアンケートでは、専業主婦を希望する高学歴女性が40%を超えること、一般職を望む男性がいることなど、超競争社会からの逃避ともみられる現象の報告もありました。イギリスの大学院で「ジェンダーと開発学」を学んだ参加者からは、女性が男性と同じ地位にどれだけいなければならないのではなく、「女性が女性らしく生きていく」ことの視点が欠けているのではとの指摘もありました。
「キャリアとジェンダー」をテーマに大変濃密で有意義な時間を過ごすことができました。まだ課題が多く残る現状をふまえ、引き続き考えていきたいと思いました。
3.学生制作ドキュメンタリー映像上映会
日時:11月29日(木)17:00~18:30
場所:7号館14階特別会議室
文学部新聞学科 水島 宏明教授のゼミ生が制作した「ホームレス」「LGBT」「障がい者」をテーマとした4本のドキュメンタリー映像の上映会を開催しました。 各上映ごとに制作した学生から、制作の意図や苦心したことなどの説明があり、上映後に参加者との質疑応答が行われました。 今回上映したドキュメンタリー映像の内、「真夜中のきょうしつ」は赤十字ヤングリポーター・コンペティション佳作、「虹色の十字架」は赤十字ヤングリポーター・コンペティション大賞、「心と心をつなぐジャズ」は「地方の時代」映像祭2018の奨励賞を受賞した作品で、学生たちの現実を丁寧に収めたことが評価されました。
【感想・意見】
- 「多様性とは何か」ということを考えるきっかけになりました。とても難しいなと思いました。それぞれの作品は視点が違い興味深かったです。
- 今のカメラは、スイッチを押せば映像も映るし、音声も録れます。しかし、それは映っているだけで、ドキュメンタリーではありません。もっとテーマに迫るべきだと思います。
- 各作品ともコンセプトがしっかりしてて、分かりやすかったです。作品後の制作者さんたちのコメントも良かったです。
- それぞれの「映像」の内容の質の高さに感心しました。将来が楽しみです。頑張ってください。
- とても良い企画ですね!今後、アクティブ・コモンズでの上映をしてはどうでしょうか?学生たちにもっと見てもらいたいと思いました。
4.学生企画
1.虹色バスボム作り♪-レインボーフラッグから考えるLGBT+ 11/30 @SSIC
趣旨は、LGBT+に関する情報提供と、それぞれのセクシャリティを示すフラッグを学ぶというもの。同時に誰もが参加しやすいイベントにしよう、ということでバスボム作りを行いました。
当日は、20名ほどの参加者とともにバスボムつくりを行い、交流会も盛り上がりました。参加者の大半がとても満足してくれたのでやりがいがありました。
2.『新潮45』を振り返りながら「あなた」が差別を考える 12/4 @10-301
趣旨は、対話を通して差別とは何かを考えることでした。その題材として、「生産性」という言葉が注目された杉田水脈議員の論文を用い、構造的な対話の場を設けました。企画を終え、参加者が具体的で個別的なケースから差別という抽象的なものに対話を進めていく中で、対話そのものの難しさが浮き上がりました。しかしこのような場が欲しかったというお声をたくさん頂き、対話することの必要性があることが分かり、今回の企画を実行したことに意味があったと思いました。
3.つながろう!D&Iアクション〜活動報告・交流会〜 12/5 @9-アクティブコモンズ
学内でイベントの開催・ボランティア活動などにおいて、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に繋がる、なんらかのアクションを起こしたことのある個人・団体をお招きし、報告と交流の場をつくることを目的として開催しました。学食のヴィーガンメニューを作った職員の方や、在日コリアン団体などの様々な個人・団体の活躍を知る機会になっただけでなく、「上智大学ではD&I推進のためどのようなアクションが起こせるか」という問いについて、参加者全員でアイデアを膨らませ、考えを深めることができました。
4.日本IBMのダイバーシティ&インクルージョン 12/7 @6-301
日本IBMのD&I〜「自分らしく働く」を考えるパネルトーク〜では、様々な事情や背景を持ちながらもお仕事で大活躍される日本IBMの社員の方々をお呼びして、「自分らしく働くこと」についてお話していただきました。世代や役職を超えてどのパネラーの方々もご自身の「違い」を「個性」に変え、いきいきと仕事をされているというお話をしていただきました。また、長年日本IBMでダイバーシティ推進に取り組まれてきたコーディネーターの方の、日本IBMという企業がなぜ、どのようにD&Iを推進してきたのか、というお話を伺い、これから社会に出ていく学生にとって大変有意義なひと時となりました。