上智大学 Sophia University × Diversity & Sustainability

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ダイバーシティ・ウィーク

Sophia Diversity Week 2023
ダイバーシティ・ウィーク

 ダイバーシティ推進室は、毎年11月25日の「女性に対する暴力撤廃デー」から12月10日の「世界人権デー」(含む「12月3日障害者デー」)までの期間を、ソフィア・ダイバーシティ・ウィークと位置づけ、本学学生・教職員を対象に様々なイベントを行っています。今年も学生の関心ゴトを中心とした幅広いテーマを取り扱い、学生・教職員がともに考えを深める貴重な機会となりました。

11/27
Period 一緒に考えよう、これからの社会のために~生理の貧困~
(企画:学生実行委員会)

 ジェンダー・セクシュアリティ問題に取り組む本学の学生団体GES(Gender Equality for Sophia)から2名のゲストをお迎えし、生理の貧困をテーマにしたイベントを開催。生理による心身への負担、重なる出費、生理の理解が進まないことによる相談のしづらさなどについて紹介しました。またGESからは、生理は性自認が女性でない人にも起こり得る問題であることを踏まえ、「生理=女性だけの問題」と一括りにすることに対して問いかけ、学内での生理用ナプキンの無料提供システム「OiTr(オイテル)」の設置活動の事例から、生理用品が誰にとってもアクセス可能であることの重要性についてお話がありました。そして、参加者によるグループワークでは、義務教育で子どもたちが生理について深く学ぶことが大切だという意見が多く飛び交い、また自身に生理がなくても生理がある家族・友人のことを考えるきっかけになった参加者もいた様子でした。

11/27
「じゃあ私も」について考える~同調圧力と共に生きる~
(企画:心理学科)

 私たちは心理学科として同調圧力に関するイベントを開催しました。普段、同調圧力という言葉を耳にすることはあまり多くないかもしれませんが、私たちは日常生活の中で無意識のうちに同調圧力をかける側にもかけられる側にもなっています。本イベントでは実際に同調圧力を感じることができる簡単な実験を行い、いかに私たちは多数派の意見に合わせる場面が多いのかということを体験していただきました。また、ゲストとして本学心理学科より樋口匡貴教授をお招きし、同調圧力や多元的無知に関する講義と実験の補足説明をしていただきました。企画を通して、様々な価値観や考え方が溢れる世の中で多様性を認めるために他者を受け入れつつも、必要な場面では自分の意見をきちんと主張することの大切さを学びました。

11/29
ダイバーシティ・ダイアローグ~差別に立ち向かう~
(企画:学生実行委員会)

 私たちは、「ダイバーシティ・ダイアローグ~差別に立ち向かう~」と題し、8号館ピロティにてワークショップを開催しました。外国人・外国にルーツをもつ人々に対する差別をテーマとし、ブースに立ち寄ってくださった延べ60名の参加者の方々と共に、差別に向き合い、解決策を考えました。ブースでは、匿名事前調査で寄せられた声や、各企画メンバーがそれぞれ関心を寄せるトピックをポスターにまとめ、展示しました。本学の公式キャラクターソフィアンくんも登場するなど終始和やかな雰囲気の中で、学生や教職員が集い、共に課題に向き合う時間となりました。差別について参加者の思考を可視化できただけでなく、これまで気づかないうちに差別をしてしまっていたかもしれない私たちが問題に気づき自分の特権性を自覚するうえで、非常に重要な時間になったと思います。

11/30
私のレンズとあなたのレンズ~体験して考えよう、あなたの「当たり前」は誰かの「困りごと」~

(企画:学生実行委員会)

 私たちは「障害」とみなされることを「困りごと」と新しく名付けて、日常生活の中の「困りごと」を体験することができる企画を行いました。企画にあたり、私たちは当事者として「障害」のせいで人生を損したわけでもなく、その人の「当たり前」があるだけなのだという想いを共有しました。踏まえて、「障害」という表現への違和感とこの想いを出発点に、その人の「当たり前」がなぜ「障害」とされるのかという当事者の視点を考察する入り口として企画を行いました。視覚・精神・アレルギーの3つについて、ブースを設けて参加者と一緒に考え、「困りごと」の有無に関わらず個人の個性的な「当たり前」なのだという気づきに溢れた時間となりました。知識よりもまずは知ること・気づくことを重視した入り口的な企画でした。関わった皆が自分の「当たり前」に気づくことの機会になったと、手応えのあるうちにやり遂げることができました。

12/7
西村宏堂さん、冨永愛さんと語るダイバーシティ
(企画:ダイバーシティ推進室)

 本企画はダイバーシティ・ウィークの目玉企画として教職員と学生が協働し準備しました。「ダイバーシティへの入り口」になるようなイベントを目指し、多くの学生から支持されている「ハイヒールを履いたお坊さん」として知られる西村宏堂さんと、世界的モデルで社会貢献にも長年取り組む冨永愛さんをゲストとしてお呼びしました。650名ほどの参加者からは、申し込みの段階でお二人に対してたくさんの質問が届き、関心の高さを実感しました。マイノリティやLGBTQなどという言葉がまだ浸透していない時代からグローバルに活躍されてきたお二人が人種や性的指向などの壁を越え、どのようにありのままの自分の姿を誇れるようになったのかを聞くことができ、多様性を受け入れ合う共生社会について考えるきっかけとなりました。このイベントが多くの方にとってダイバーシティの入り口となり、さらなる学びや行動につながることを願います。

12/7
やまゆり園事件が問いかける共生社会のあり方
(企画:フューチャーセンター・プロジェクト)

 この企画は「多様な他者を理解するための勉強会」として開催してきたものの第4回目の公開勉強会で、脳性麻痺という障碍を持つ新井丈晴さんをゲストに招いて、障碍者理解と共生社会のあり方について関心のある皆さんとオンラインで情報と意見の交換をしたものです。第3回に続いて神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で起きた大量殺人事件を取り上げて、その事件の背景を理解することから、どうすればこのような事件が起こらない社会をつくることができるのか、理想的な共生社会とはどのようなものなのか、それはどうすれば実現することができるのかをオンライン上で話し合いました。昨年10月にこの事件をテーマにした映画「月」が公開され、その映画で取り上げられた課題についても意見交換をしました。障碍者だけでなく、自分とは異なる他者とどのようにかかわっていけばよいのか。今後も、簡単ではないその問いから目をそらさずに、向き合っていきたいです。

12/10
サイエンス。いいね!~理工系に興味のある女子高生のための実験教室~
(企画:理工学部)

 本学理工学部の3学科に加えて、2021年度から国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の女性研究者支援の補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)」を共同で実施してきた同志社大学の文化情報学部からもお越しくださり、理工学部長が中心となって保護者向けの企画と合わせ計5つのバラエティに富んだプログラムを準備しました。当日は女子高生及び保護者の方合わせて約80人が参加し、実際に理工学部で使っている教室やコンピュータールームでの実験は臨場感があり、リアルな体験は大変好評でした。また、保護者向けのプログラムでは、大学院進学やその後のキャリアについて説明があり、本学がこれまで行ってきた女性研究者支援の実績についても紹介し、女性でも安心して学ぶ環境が整備されているとのコメントが多く寄せられました。

期間中の展示企画
データでみる上智大学
(企画:ダイバーシティ推進室)

 上智の組織のインクルーシブ風土の醸成に向けて、本学の学生・教職員のダイバーシティの現状を可視化し展示を行いました。性別割合はなんとなく肌感でこのぐらいかな?と予想する人は多くいましたが、しっかりとした数値で把握している人は少ないように思いました。また、出身校所在地については、圧倒的に関東が占めていることはデータからみても明らかですが、関東以外の高校出身者の学生から、「同じ学部学科に同じ地域の高校出身者がいなくても、学内には仲間がいると知れれば安心感につながる。他の少ない地域を知ることで寄り添うきっかけにもなる。まずは知ることが大切だと思う」という声もいただいたので公表することにしました。教職員の役職データなどもキャリアになにか関係性があるかを考えるきっかけになればと思い公表しました。多くの方が足を止めて見てくださっていたので、本データを題材に、それぞれが身を置いている環境から考えてみていただけると嬉しいです。当室としても、これから経年で分析していくことで、本学のダイバーシティ経営の強化に役立てればと思います。

そのとき、あなたは、何を着てた?~What Were You Wearing?~
(企画:グローバル・コンサーン研究所)

 What Were You Wearingは、米国の倫理学者メリー・シマリングが、レイプ被害に遭った自分の体験を書いた「What I was wearing (私が着ていたもの)」という詩をヒントに始まったアート・インスタレーションです。性暴力の被害に遭ったサバイバーに被害時の服装について記述してもらい、そのイメージに近いものを展示します。「挑発的な服装をした若い女性が性暴力被害に遭う」という先入観をなくし、性暴力とその二次被害を防ぎ、「あなたは悪くない」というメッセージを届けることが目的です。本展示は、2014年にアメリカのアーカンソ―大学で行われて以来、全米やヨーロッパ、韓国、ベトナムなど世界各地で実施されていますが、日本では今回が初めての開催となりました。
 性暴力について「あってはならないもの」として蓋をするのではなく、被害者も加害者も身近にいることを前提に、一人ひとりが対策を考えるきっかけとなりました。

紀伊國屋ブックフェア

 ウィーク期間中、2号館B1F紀伊國屋の入口付近にて関連図書コーナーを設置いただきました。